森のようちえんから国際交流まで、幅広い社会教育交流活動をご紹介します。

心優しく、たくましく育っている、雪国の子どもたち

新潟県三条市で森のようちえんのスタッフをされていらっしゃる、私の友人の渡辺麗果さんより雪国新潟の元気な子どもたちの様子が届きましたので紹介させていただきます。

◎初雪となる瞬間は心が踊るほどに喜び
新潟県は場所によってはとてつもなく豪雪になる年があります。今年はその雪の当たり年でしょうか。子どもたちも春夏秋冬のうち3つの良い季節を過ごし、最後に一番厳しい冬過ごすことには必ず意味があると思っています。
子どもたちは、寒さが増してくると、慣れるまで時間がかかります。寒くて手がかじかみ、足の指は寒さでしもやけになる子も‥厚着で体が重く、歩くのも疲れてしまったり、冬の始まりは子どもたちにとって“過酷”でもあります。
もちろん嬉しさ、楽しさもあります。雪が降るまで心がわくわくし、雨から霙、雪に変わり初雪となる瞬間は心が踊るほどに喜びを感じます。小さな子どもたちは、まず雪を口にし、冷たさと口のなかですっと、とけていく感じに触れます。貴重な体験です。

◎1日中雪の降る外で遊び、弱音を吐くこともせず
そして、雪がどんどん積もってくるようになるとソリ滑りにはじまり、雪合戦、雪を使ったままごと、雪上焚火に雪の上でしかできないりんご飴作り、雪の森探検では、動物の足跡をたくさん見ることができ、普段は気配を感じることのできない動物の存在を身近に感じることができます。雪質も、ふわふわからざらざら、カチカチ‥と毎日感触が違います。
雪は不思議がいっぱいで、子どもたちにとっても大人にとっても特別なものです。こういった経験を繰り返し、子どもたちは日に日にたくましくなります。1日中雪の降る外で遊び、弱音を吐くこともせず、ただただ楽しみ、不思議なことを見つけ夢中になって遊び続けます。

◎それぞれの季節を過ごす中で、「ほんの小さなしあわせ」も感じる
私がいる森のようちえんでは、ビニールハウスがあり、その中に薪ストーブやロケットストーブがあるのですが、外気が0℃以下になる日はハウスのなかでストーブをたいても10℃に届きません。
それでも外からハウスの中へ入ったときに「あったかーい」と幸せな気持ちになります。その小さなしあわせを感じられることも自然ならではだと思います。
子どもたちはそれぞれの季節を過ごす中で、「ほんの小さなしあわせ」も感じることができるのです。

◎自らが素直な気持ちで原点に戻れるきかっけに
幼いころの思い出は深く心の中に記憶として刻まれます。子どもたちが大人になったとき、嬉しいことの他に必ず辛いことや苦しいと思うときがくると思います。そんな時に、自然の中で幼少期を過ごした子どもたちには、自らが素直な気持ちで原点に戻れるきかっけになるといいなと願っています。
何よりも広く深い自然には人間はかなわないですし、広くみれば、人間はちいさな存在です。そう思うと、贅沢をしたり自分が1番という考えには行きつかない気がします。自然の中に生かされていると考えれば、何にも左右されていない自然の美しさだったり、気持ちよさを見つけ、小さな幸せを感じながら生きていくほうがどんなことにもいいのだろうと考えます。
美しいものを素直に美しいと思える心、ちいさな幸せに気が付き幸せだと思える心、それを忘れなければどんなことがあっても乗り越えていけると思っています。

 

◎変化のある時代だからこそ、“大切なものは大切”
私たちは変化の著しい時代の中に生きていますが、変化のある時代だからこそ、“大切なものは大切”と芯が強く、人も自然も自分も愛する人になって欲しいと願っています。
まずは身近な大人が様々なことに興味を持ち、挑戦してみること、その大人の姿が子どもたちの挑戦心や冒険心を増加させるということを絶対に忘れてはいけないと思っています。
現代は見えないものにおびえ、視野が狭くなってしまいがちですが、自分は誰のために、なんのために森のようちえんをやっているのだろうということを自分自身にしっかりと問いかけていきたいです。そして、自然の恩恵を受けながら視野を広くもち、子どもたちには、今の時代だからこそ必要な体験ができる環境を守り続けていきたいと強く思っています。

◎私も“自分らしく”森のようちえんの子どもたちの仲間として生きていこう
このようなことを思いながら、中能さんが執筆された『森のようちえん冒険学校』を読ませていただき、本からパワーをもらいました。
私が森のようちえんのスタッフとして、“本当にやりたかったこと”“本当に子どもたちに伝えたかったこと”がよみがえってきました。
理屈ではない、心と情熱が何よりも大切で、それが子どもたちに伝わるのだということを強く感じました。つくらず、かざらず、自分らしく。この本を書かれた中能さんのお人がらが伺える、今までにであったことのない1冊です。
私も“自分らしく”森のようちえんの子どもたちの仲間として生きていこうとそう改めて決心しました。
この本は、私の宝物。
この本は、私のちっぽけな人生の大きな道しるべを作ってくれた、そんな気がします。
中能さんに出会えて本当に良かったです。中能さんの存在が私の人生の道しるべを作ってくださっています。
2022年2月 新潟県三条市
渡辺麗果
PDF原稿はこちらから
22.02.25.(1) 心優しく、たくましく育っている、雪国の子どもたち 渡辺麗果

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