森のようちえんから国際交流まで、幅広い社会教育交流活動をご紹介します。

森の中の小学校(啓明学園初等学校)

東京都昭島市に所在する、啓明学園は校地約3万坪の高台に幼稚園、初等学校、中学校、高校学校の4棟が建てられていて、多摩川の清流を眼下に見下ろし、自然に恵まれた環境の中で、のびのびと生活を送ることができる学園です。その一つ初等学校(佐川康博校長)では、大きな目標に「一人ひとりの言葉や文化を尊重し創造的な学びを探求する」とあり、具体的な活動の一つとして1・2年生を対象に毎月“森遊び”の時間が設定され10年前よりとりくんでいます。(現在、私は1学期に1回程度子どもたちと森遊びを楽しんでいます)ここで大切にされていることは、学校の中では主に先生に教わりますが、森遊びは、自分で考えて遊びを作り出していくことを目標にしています。1年生で初めて森遊びに参加した子どもの中には、何をして遊べばよいのかがわからずに少し戸惑っている様子の子どもももいますが、先生方は遊び方を教えるのではなく、子どもたちが自分で考えて遊びだすまで見守ることに徹しています。そして待つこと15~20分。子どもたちは、木登りをする子、森の中で追いかけっこをする子、草花を摘んで楽しむ子、昆虫を見つけて観察に没頭する子、鋸やナイフを使って竹や木を切る子、切り倒された竹をたたいて音楽を奏で続ける子、森の中を探検する子、とわずか2時間程度の森遊びですが、脳をフル回転させながら遊んでいます。楽しい遊びの隣には少しヒヤリとする場面もありますが、そのようなことにも挑戦しながら集中して遊ぶ体験の繰り返しが子どもたちの直観力を育んでいるようにも感じます。

“三つ子の魂100まで”と言われますが、わずか月1回の活動でも。
①自分で判断して結論を出す力をもつ。
②結論に基づき行動をする力を持つ。
③自分で出した結論に責任を持つ(人のせいにしない)。
④間違いに気が付いたら引き返す勇気を持つなど。
子どもたちの心の中には森遊びの体験がしっかりと刻み込まれているように感じます。
子どもたちは自然の中での遊びを通して「みんな違っていて当たり前を体験し」その様々な体験の積み重ねで「人生を豊かに演出し楽しく生きることができる感性」を育んでいるように感じます。改めて幼児青少年期の自然体験活動は、人間の成長に必要不可欠なことではないかと思いました。ホームページは、「啓明学園」で検索。           (活動レポート)
公益財団法人社会教育協会日野社会教育センター 元館長
NPO法人森のようちえん全国ネットワーク連盟監事
中能孝則

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