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それぞれの賢さ

山梨県北杜市小淵沢駅の近くに、「八ヶ岳南麓高原湧水群」の一つとして環境省の名水百選に認定されている湧水があります。
そして、「美味しい湧き水ここにあり」と地元の人たちだけではなく、近隣の別荘の人たちや観光に来られた方々など、連日多くの人たちがポリタンク持参で水汲みに訪れる、知る人ぞ知る場所です。

また、北杜市と言えば、空気がきれいで日照時間が長いこともあって、いたるところにソーラーパネルが設置されているところでも有名なところです。
さて、この話は今から10年くらいの前のことになりますが、ある業者がこの湧水の上に位置する山の所有者に「このままではこの山は一文も稼ぎ出しませんが、ここにソーラーパネルを設置すると毎月お金が入るようになり、お孫さんたちにお小遣いをやれる、賢いおじいちゃんになりますよ」とのアドバイスを受けたそうです。

山の持ち主は「なるほど」と、パネル設置を許可する方向に動き出しました。しかし、ここの湧水は一日約22,000トンの豊かな水量があり、水温は年間を通じて約12℃前後でこんこんと沸いていて、古くから近隣の人々の生活を支えてきたもので、現在でも多くの人々に愛されている大事な湧水です。
私も時々湧水の水を汲み行きますが、ここで出会った人の話によれば、「八ヶ岳はもともと神々が宿る山として信仰のある山でもあり人々から畏敬の念を持たれている山です。そして八ヶ岳に降った雪や雨が地下深く浸透し、長い年月をかけてここに湧き出しているもので、ラドン含有量がヒトの体のミネラルバランスとよく似ており、毎日飲むことで体調が整ったり、中には気管支の病気も良くなったりする人もいるそうですよ」。と話してくださった。
ソーラーパネルは作る時は良いが、寿命は20年前後と言われていて、その間少しづつ劣化していき、傷んだ鉄骨やパネルのしずくは地下に浸透しはじめ、やがて湧水に混ざり湧き出してくる可能性もあります。

結論から話せば、地元と有志の反対運動によって、パネルは設置されなくなったと伺ったが、よくよく考えてみると、私たちの住む国、日本のいたるとところに類似するような話はないだろうか。
生活していく上である程度のお金は必要ですが、損得勘定を乗り越えて、人々が幸せに暮らしていくために私たちは、どの様な賢さを身につけていけばよいのだろうか。と思う今日この頃です。
滝の画像のようです
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